セブでの産休という仕組み

最終出社日

ウチのスタッフの1人が、出産のため、3月15日が最終出社日でした。予定日は4月。元気な子を産んだのち、5月か6月ぐらいに復職予定です。妊娠、出産、子育てはこの国ではよくありますが、大抵の場合が、その時に働いているところから退職になるようです。それがこの国の普通のようです。

でも我々は、必ず帰ってくるように、と言って今日も締めました。ホームがあることの大切さを知っています。そういう職場は少ないと言うのは大変寂しいことですが我々ができることから変えたいと思っています。安心して働けるからから、逆に思い切って良いチャレンジしてができる、そういった職場にし続けたいと考えています。

我々は現地スタッフと定期的に個別で時間をしっかり取って面談します。困り事だったり、夢や目標だったり、家族のことだったり、色んなことを意見交換します。

面談でのこと

今でも鮮明に覚えています、その子のお腹が目立ち始めるぐらいの時に面談しました。その時は我々は全くその子の妊娠に気付いていませんでした。ひと通り面談が終わり、最後に「Do you have any questions?」と聞きました。そうすると、少し言い出しづらそうに、だけど何かを話したそうな素振りを見せました。ん?どうしたの、何でも言ってごらんよ、的に少し促します。すると、少し涙目になりながら彼女はこう言いました。

『実は、妊娠してることがわかったの』

テレビでしか聞いたことないセリフを、まさか英語バージョンで聞くとは、、という感じでしたが、自然に「おめでとうー!」と言ってめちゃくちゃ拍手していました。その後、彼女は『だから4月ぐらいに生まれるから仕事を。。』と言ってまた言葉に詰まります。この後の会話で、こちらの大体の会社は妊娠が発覚したりすると働けないとみなされ辞めさせられるということを、知りました。我々は思った通りに「え?なんで辞めるの?辞める必要はないし、働けるまで働いて、元気な子を産んで、また働けるようになったら戻ってくればいいじゃん」と伝えました。

彼女は泣きました。伝えたら辞めさせられるかもと思ったけど勇気を振り絞って今言ってよかった、という安堵の涙。あとはちゃんと自分たちのことを考えてくれる職場で、そこに帰ってこられる、という嬉しい涙の要素もあったのかな。なんにせよ、涙目になりながらもきちんと伝えてくれたのは、こちらも大変嬉しかったのです。

その先へ

そうこうあった彼女ですが、面談の後は伝えた事でストレスが減ったのか、今日まで欠勤などもせず元気に働き切りました。次帰ってくる時にまた使うからネームプレートは大切にしといてね、と持たせて帰らせました。次会う時はこのスイカL玉3個分ぐらいのお腹が小さくなってるのは、想像しただけで僕の頭では理解不能で、大変不思議な感じがしました。彼女が次戻ってくる時はもっと良いお店になってるように、明日からのメンバーでも今以上に精進していきます。

おしまい。

補足

現地のフィリピン労働法及び各施行細則、関連通達では、当然、雇用条件、福利厚生、労使関係、解雇と定年退職などについて規定されている。

出産関連でいうと、

出産予定日前に最低 2 週間、分娩後に 4 週間の出産休暇(有給)を付与する。

既婚男性は、妻が出産の際には 7 日間の有給休暇が付与される。

 といったところが挙げられる。海外の制度って調べても難しいけど、一応法律では決まっているみたい。どれだけの企業が守っているかは不明だけど。。

とりあえず福利厚生関係の書類へのサインなどもあり、結構大変だけどやれることはやってあげたい。きっと産む本人とその家族が一番大変なのだから。